2022.08.22
全国シリカゲル紀行
①フジヤマスライサー社/樟脳油入シリカゲル
これから、このコラムの場をお借りして、「全国シリカゲル紀行」のタイトルで、実際に全国で行われているシリカゲルの様々な利用方法を紹介していきます。
記念すべき第1回は宮崎県産くすのきを原料とした天然樟脳油シリカゲルの紹介です。
「木づかい運動」。木材を積極的に利用することで、日本の森林を活性化し、環境保全を推進する。2005年から林野庁が推進した国民運動でした。その一環として、あるイベントに宮崎県産のくすのきを原料とした樟脳を手作りし、出品したのがフジヤマスライサー社製「日向しょうのう」の始まりです。
樟脳はクスノキを水蒸気蒸留した後に、分離して得られる結晶成分。その結晶から出る芳香成分には防虫効果があり、昔から衣類の保存には欠かせないものでした。しかしながら高度経済成長時代以降に安価な石油化学品に取って代わられ、現在では天然の樟脳を作っているところは、フジヤマスライサーを含めて九州内の4社のみとなっています。
樟脳は、くすのきの木材1tから20kgしか得られない貴重な成分です。結晶を得た後に残る油成分「樟脳油」。樟脳油のなかにも有効成分が残っています。その樟脳油を有効に使えないか?
一つの出会いがきっかけとなり、新しい商品が開発されます。
弊社社員からの提案。「樟脳油をシリカゲルに染み込ませて、結晶と同じように粒製品として販売してみませんか?」
地道な手作業により試作が進められました。シリカゲルに樟脳油を染み込ませる。「しょうのう油入りシリカゲル」の誕生です。
くすのき由来のさわやかな香り、その香りの持つ防虫効果、さらにシリカゲルのもつ脱臭効果と除湿効果。二つの素材が組み合わさることで相乗効果が得られました。
フジヤマスライサー社の藤山社長は「日向しょうのう」の将来に更なる期待をされています。「後継者のために、原料となる森林に近くにさらなる設備を拡張…」。そんな話をされる藤山社長の顔は嬉々とされていました。
【日向しょうのう取扱店舗】
道の駅「日向」、成城石井、宮崎アンテナショップ「新宿みやざき館KONNE」、FELISSIMO、その他広告販売・ネット販売等
【使用シリカゲル】
フジシリカゲル B形 球状 5-10